お別れ会とは、故人と親しかった人たちが集まって、故人を偲び、思い出を語り合う会のこと。近年、葬儀や告別式とは異なり、故人の意向や生前の人柄を反映した、自由なスタイルで行うことができる、この「お別れ会」という新しい形式が増加しています。

では、お別れ会と伝統的な葬儀との具体的な違いは何なのでしょうか?また、お別れ会を開催する際の目的や種類、流れや費用はどのようになっているのでしょうか?

今回は、お別れ会とはどういうものか、その実施に必要な知識とポイントを詳しく解説します。

お別れ会とはどういうもの?

お別れ会は、故人と親しかった人たちが集まって、故人を偲び、思い出を語り合う会です。特定の宗教的儀式や形式に縛られず、故人の人生や性格を反映した自由な形式で行われます。参列者は故人との思い出を語り合ったり、故人の好きだった音楽を聴いたりすることが多いです。

また、故人の趣味や生き方を表現するため、写真展示、ビデオ上映、好きだった音楽の演奏など、個性的な演出がなされることがあります。会場の装飾も故人の好みに合わせて行われることが多く、故人への敬愛の気持ちが込められています。

くわえて、お別れ会には、家族、友人、知人など、故人と親しかった人々が招かれることが一般的。招待される人数は葬儀よりも少なく、より親密な雰囲気で故人を偲ぶことができます。

伝統的な葬儀に比べて、お別れ会は費用を抑えやすい傾向にあり、豪華な装飾や複雑な儀式が不要であるため、経済的な負担が軽減されるという特徴があります。

お別れ会の主な3つの種類を解説

お伝えしたように、お別れ会は通常の葬儀とは異なり、宗教的な儀礼に縛られることなく、故人の意向や生前の人柄を反映した自由なスタイルで行うことができます。そのため、葬儀とは異なるさまざまな種類のお別れ会が存在するのです。

具体的には、お別れ会の種類は大きく「セレモニー形式」「会費制パーティー形式」「法人が開催するお別れ会(社葬・団体葬)」という3つの開催形式で分けられます。

セレモニー形式のお別れ会

セレモニータイプのお別れ会は、葬儀に近い形式で行うお別れ会です。献花や焼香、故人の経歴紹介など、葬儀で行われるようなセレモニーを、お別れ会でも取り入れます。

セレモニータイプのお別れ会は、故人を弔い、送り出すという葬儀の役割を担うことができます。また、宗教的な儀式に慣れている人や、故人の遺族が葬儀を後日行う予定がある場合に適しています。

会費制パーティー形式のお別れ会

パーティータイプのお別れ会は、故人を偲び、思い出を語り合うための会です。食事や飲み物、余興などを楽しみながら、故人と過ごした時間を振り返ることができます。

パーティータイプのお別れ会は、故人や遺族の好みに合わせて、さまざまなスタイルで行うことができます。例えば、故人の趣味や好きなことをテーマにした会や、故人の写真や思い出の品々を飾る会などが挙げられます。

法人が開催するお別れ会(社葬・団体葬)

法人が開催するお別れ会は、「社葬」や「団体葬」といった会社や団体の創業者や役員、社員などの死去に際して、法人が主催して行うお別れ会です。

社葬や団体葬は、葬儀とは異なり、故人を弔い、送り出すことを目的としたものではありません。故人が会社や団体に果たした功績を称え、その死を悼むとともに、社員や関係者で故人を偲ぶことを目的としています。

お別れ会を行う目的とは?

お別れ会を行う目的は、故人と親しかった人たちが集まって、故人を偲ぶことで、心の整理をする機会を設けることです。故人と過ごした時間や思い出を振り返ることで、故人を受け入れ、前を向いて歩き出すための力を得ることができます。

大切な人が亡くなったとき、私たちは悲しみや寂しさ、そしてさまざまな思いを抱きます。お別れ会は、そうした思いを共有し、受け止め合うことができる場となるよう開催されるのです。

そのため、お別れ会では、故人が好きだった食べ物や飲み物を用意したり、故人の写真や思い出の品々を飾ったりして、故人を偲ぶのが一般的。故人と親しかった人たちが、故人の思い出を語り合うことで、故人をより近くに感じることができます。

お別れ会と葬儀との違い

お別れ会と葬儀は、どちらも大切な人との死を悼むための機会です。しかし、両者には以下の5つの大きな違いがあります。

・目的の違い
・開催形式の違い
・開催時期の違い
・開催費用の違い
・主催者・参加者の違い

ここから、それぞれ詳しく解説いたします。


目的の違い

葬儀は、故人を弔い、送り出すことを目的としています。そのため、葬儀では、故人の死を悼み、故人の冥福を祈る儀式が行われます。

一方、お別れ会は、前項目でもお伝えしたように、故人を偲び、思い出を語り合うことを目的としています。そのため、お別れ会では、故人の生前の功績や人柄を振り返り、故人と過ごした時間を思い出し、語り合う機会となります。

開催形式の違い

葬儀は、宗教的な儀礼に則って行われるのが一般的です。そのため、葬儀では、通夜、告別式、火葬・埋葬などの儀式が行われます。

一方、お別れ会は、宗教的な儀礼に縛られることなく、自由なスタイルで行うことができます。そのため、お別れ会では、故人の趣味や好きなことをテーマにした会や、故人の写真や思い出の品々を飾る会など、さまざまなスタイルがあります。

開催時期の違い

葬儀は、故人が亡くなった直後に行われることが一般的です。そのため、葬儀では、故人の死を悼み、故人を送り出すための気持ちをしっかりと伝えることができます。

一方、お別れ会は、葬儀後に行われる場合もありますが、葬儀をせずにお別れ会のみを行う場合もあります。そのため、お別れ会は、故人の死を悼むためだけでなく、故人と親しかった人たちが、故人を偲び、思い出を語り合うための会として、さまざまなタイミングで開催することができます。

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開催費用の違い

葬儀は、葬儀場や斎場の使用料、葬儀社への葬儀費用、戒名や墓石の費用など、さまざまな費用がかかります。

一方、お別れ会は、場所や内容によって費用が大きく異なります。一般的には、1人あたり1万円から2万円程度が相場です。
お別れ会の費用については、後ほど詳しく解説いたしますので、そちらも参考にしてください。


主催者・参加者の違い

葬儀は、故人の遺族が主催するのが一般的です。
一方、お別れ会は、故人の遺族や友人、知人などが主催する場合があります。

また、葬儀は、故人と親しかった人たちや、故人の遺族が主催者として招待した人たちが参加するのに対し、お別れ会は、故人と親しかった人たちや、故人の遺族が招待した人たちが参加します。

お別れ会を行う流れ

ここまで、お別れ会の目的や種類、葬儀との違いをお伝えしました。この項目では、実際にお別れ会を行う際の流れをお伝えします。

お別れ会を行う際の主な流れは、以下のとおりです。

1.主催者を決める
2.日程や場所を決める
3.招待客のリストアップ
4.予算の設定
5.内容の検討
6.手配の実行・当日の準備
7.当日の進行・当日の片付け

それぞれの詳しい手順について詳しくご紹介します。

1.主催者を決め

お別れ会は、故人の遺族が主催を担う一般的な葬儀と異なり、友人、知人なども主催することが可能です。そのため、まずは誰がお別れ会を主宰するかを決定する必要があるでしょう。主催者は、お別れ会の準備や当日の運営を担うことになります。

2.日程や場所を決める

主催者が決まったら、お別れ会を開催する日程と場所を決定します。

日程は、葬儀の後、数日後や数週間後、あるいは数か月後など、さまざまな時期に設定することが可能です。また、場所についても、葬儀場や会館、レストランなど、さまざまな場所で行うことができます。

3.招待客のリストアップ

次に、招待客のリストアップを行います。招待客は、故人と親しかった人たちや、故人の遺族が招待したい人たちが対象となります。

4.予算の設定

お別れ会には、場所の使用料や食事代、会場の装飾費など、さまざまな費用がかかります。予算をしっかりと設定しておきましょう。

5.内容の検討

続いて、お別れ会の流れや内容を検討します。
具体的には、主催者挨拶や献花、故人のエピソード紹介や故人へのメッセージ、閉会など。
葬儀の流れをベースにしたセレモニータイプや、故人の趣味や好きなことをテーマにした自由型など、さまざまなスタイルがあります。

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6.手配の実行・当日の準備

お別れ会の予算や内容が決まったら、会場の予約や、食事の手配、会場の装飾などを手配します。
また、当日の準備として、会場の設営や、食事の準備、当日のスケジュールの確認などを行います。

7.当日の進行・当日の片付け

お別れ会当日は、事前に決めた流れに沿って進行します。また、開催後は会場の片付けや、食事の片付けなどを行います。

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お別れ会にかかる費用は?

お別れ会にかかる費用は、場所や内容によって大きく異なります。
費用の相場は非常に幅広く、数万円から数十万円まで変動し、場所や提供されるサービスのレベルによって大きく異なります。小規模でシンプルなお別れ会は、比較的低コストで行うことが可能です。

一方で、レストランや特別な会場を利用し、プロのケータリングや装飾を行う場合、費用は高くなります。
なお、費用相場はあくまでも目安です。実際にかかる費用は、開催する場所や内容によって大きく異なります。また、地域によっても費用相場は異なる場合があるので、事前に確認して見積もりなどをとるようにしましょう。

費用の内訳としては、以下のようなものとなります。

・会場の使用料
・食事代
・会場の装飾費
・司会者や音響設備のレンタル費
・返礼品の費用
・その他の雑費

以下で詳細を解説させていただきます。

会場の使用料

会場の使用料は、会場の規模や立地によって大きく異なります。葬儀場や会館は、一般的に1人あたり1万円から2万円程度の費用がかかります。レストランやホテルは、1人あたり2万円から3万円程度の費用がかかるでしょう。

食事代

食事代は、会食の形式やメニューによって大きく異なります。会食の形式は、コース料理やビュッフェ、オードブルなど、さまざまなスタイルがあります。メニューは、和食や洋食、中華など、さまざまなジャンルから選択できます。

会場の装飾費

会場の装飾費は、会場の規模や装飾の内容によって大きく異なります。シンプルな装飾であれば、通常1万円程度で済みます。豪華な装飾であれば、数万円の費用がかかります。

司会者や音響設備のレンタル費

司会者や音響のレンタル費などの費用は、司会者や音響機器を依頼する場合にかかる費用です。司会者や音響スタッフを依頼する場合は、一般的に1人あたり1万円から2万円程度の費用がかかります。
お別れ会の軽視によっては、司会者の手配をしないケースなどもあるので、必要に応じて発生します。

返礼品の費用

返礼品は、故人と親しかった人たちへの感謝の気持ちを表すものです。故人の趣味や好きなものに合わせた品物を選ぶことで、故人を偲ぶ気持ちをより一層伝えることができます。
また、参加者の年齢や性別に合わせて選ぶことで、より喜んでもらえるでしょう。

返礼品には様々な種類がありますが、例えば、故人の写真や名言が入ったキーホルダー、マグカップ、小さなフォトブックなどであれば、印刷や製造コストに応じて、1点あたり数百円から数千円。
故人の好きだったお菓子や特製の食品などであれば、量や種類に応じて1点あたり数百円から数千円ほどです。

予算に合わせて選ぶことで、無理のない範囲で返礼品を用意することができます。
費用を抑えたい場合は、1人あたりの個数を減らしたり、安価な品物を選んだり、自作の品物を贈ったりなどといった方法を検討するのがよいでしょう。

返礼品はお別れ会の規模や故人の人生を反映したものであることが重要です。
過度に高価な返礼品は避け、故人の記憶を大切にし、参加者に感謝を示すことに重点を置くことが望ましいでしょう。

その他の雑費

お別れ会の実施には、上記でお伝えした費用の他にも、写真撮影やビデオ撮影の費用、印刷物の費用など、さまざまな費用がかかります。予算が決まっている場合は、会場費や食事、返礼品の費用にくわえ、これらの費用を想定しておくのがおすすめです。

お別れ会を行う際に抑えておきたいポイント

ここまで、お別れ会をおこなう際の具体的な流れや費用について解説しました。
そこでここでは、お別れ会をおこなう際に抑えておきたいポイントをご紹介します。

お別れ会を行う際に抑えておきたいポイントは、主に以下のとおりです。

・故人の遺族の意向や親しかった人たちの気持ちを配慮する
・故人の意向と個性を尊重する
・予算をしっかりと確保する
・事前に準備をしっかりと行う

お別れ会を行う際は、お伝えするポイントをぜひ参考にしてください。

故人の遺族の意向や親しかった人たちの気持ちを配慮する

これまでお伝えしてきましたが、お別れ会は、故人を偲び、思い出を語り合う大切な機会です。しかし、故人が亡くなったばかりの遺族にとって、お別れ会を開催することは、大きな負担になることもあります。

お別れ会を開催する際には、まず故人の遺族の意向を尊重しましょう。遺族が開催を希望していない場合は、無理に開催する必要はありません。

また、お別れ会の開催にあたっては、故人と親しかった人たちの気持ちに配慮しましょう。故人の趣味や好きなことをテーマにした会や、故人の写真や思い出の品々を飾る会など、故人と親しかった人たちが故人を偲ぶことができるような会を開催しましょう。

故人の意向と個性を尊重する

お別れ会は、故人の思い出を語り合う機会となります。故人の趣味、好み、人生観をお別れ会の計画に反映させます。音楽、芸術、趣味など、故人が生前愛したものを取り入れるのがよいです。
また、故人が生前自身のお別れ会についての意向があれば、その内容を尊重した会を開催することを心がけましょう。

予算をしっかりと確保する

お別れ会には、場所の使用料や食事代、会場の装飾費など、さまざまな費用がかかります。予算をしっかりと確保しておきましょう。
お別れ会は、故人を偲ぶ大切な機会ですが、費用がかさんでしまうと、故人を偲ぶ気持ちが薄れてしまうかもしれません。予算をしっかりと設定し、無理のない範囲で開催しましょう。

事前に準備をしっかりと行う

お別れ会をスムーズに開催するためには、事前に準備をしっかりと行いましょう。
お別れ会の日程や場所、招待客のリストアップ、内容の検討、手配の実行、当日の準備など、さまざまな準備が必要です。
事前にしっかりと準備をしておけば、当日は安心して会を開催することができます。

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まとめ

お別れ会は、故人を偲び、思い出を語り合う大切な機会です。お別れ会は、故人を偲ぶためのよりカジュアルで個性的な方法であり、伝統的な葬儀に比べて自由度が高いのが特徴。

また、お別れ会の費用は、故人を偲びつつ、遺族の経済的な負担を考慮した上で計画することが重要です。プランによって柔軟に費用を調整し、故人の人生を反映した意義深いお別れ会を実現することが可能です。

それぞれの目的やスタイルを理解した上で、故人を偲ぶことができるような会を開催しましょう。
参加者は故人との思い出を共有し、お別れ会を通じて心の癒しを得ることができます。