社葬はホテルで行うもの、そう思い込んではいませんか?確かに、ホテルを会場にすれば立派な式が執り行われ、参加者の誰もが満足することでしょう。
しかし、社葬の意味を深く考えた場合には、ホテル以外にも、送られる人の思いが大切にされる会場はたくさんあるはずです。この記事では、ホテル以外でも社葬を行うべき理由について解説していきます。
そもそも社葬とは?
そもそも社葬とは、会社を挙げて故人を弔う儀式です。
対象となるのは、企業を興した会長や相談役、会社の発展に長らく貢献した専務、常務、執行役員などといった上層部の人である場合が多いものですが、それ以外にも、在籍中に顕著な業績を上げて会社の発展に尽力した人や、在職中の不慮の事故で亡くなった人なども社葬の対象となります。
通常の葬式と同様に、通常は遺族の代表が「喪主」を務めますが、「施主」は会社側が担います。施主とは、葬儀全体の運営や進行を取り仕切る立場の人で、一般的に社葬の運営にかかる費用なども負担します。
社葬の施主は「葬儀委員長」などの名称で、企業のトップである社長が務めるのが通例とされています。
社葬がホテルで行われるのが多いのはなぜ?
社葬は会社を挙げて故人を弔う儀式ですが、同時に取引先や関係者などといった外部に向けて、会社の「格」を示す場でもあります。そのため、ホテルのような格調の高い場所で行うのが一般的とされてきました。
ホテルという場所が持つメリットとしては、格調の高さ以外にも、その立地の良さが挙げられます。都心の一等地に所在することから公共交通機関も充実しており、参加者の利便性を考えた場合はそのアクセスの良さが魅力です。
駐車場が完備されているという点も見逃せません。車を降りてすぐに会場に入ることができるという点はホテルならではの利点です。整った設備の中で料理のコースも豊富に選ぶことができ、何より会場がそのまま宿泊の拠点になっているという点は、ホテルでなくては発揮できないメリットです。
これらのメリットを総合的に考えたとき、社葬はホテルで行うのが一番、という風潮が定着してきたのも確かにうなずけるでしょう。
社葬をホテル以外で行うメリットは?
社葬といえば、大企業が行う大人数のセレモニーというイメージがあります。しかし実際は、中小企業が主催して数十人規模で開催される社葬も数多くあります。
それらの社葬では、形式や利便性だけにこだわるのではなく、弔われる人が本当に満足すると思われる方法で式の内容が練られています。
社葬には会社の格式を示す一面がある一方で、後継者のお披露目といった意味を持つ場合があります。この場を借りて社内が新たなリーダーのもとで一丸となって盛り立ててくれることが、故人の何よりの願いであるのかもしれません。
その想いを汲み取るとすれば、会場は何もホテルに限る必要はなく、会社の工場であっても、近くの葬儀会館であっても、もしくは故人が愛したゴルフ場や、思い出の詰まったレストランでもよいわけです。むしろ、心のこもったセレモニーという意味では、親近感がいっそう高まるそのような場所での社葬の方がふさわしいかもしれません。
移動や宿泊に関しても、これらの社葬に対応して専門的にサービスを提供する企業が数多く生まれています。これからの社葬は、会社の格式を示すだけではなく、故人の想いをいっそう大切にした両者の複合型のスタイルが求められるようになります。
その意味では、会場をホテルに限るのではなく、故人にゆかりのある様々な場所を選択肢として考えてみるのが最もふさわしいといえるのではないでしょうか。
ホテル以外でも大丈夫、社葬は送られる人らしさが一番活きる会場で
社葬は、会社を挙げて故人を弔うセレモニーです。社葬には対外的に格式を示すという一面もあり、それにふさわしい場所としてこれまでホテルが多く選択されてきました。
しかし社葬本来の意義に立ち返ったとき、本当に故人の望む想いを遺志として尊重するために、どこで社葬を執り行うのがよいかを、まっさらな状態で考えてみるのが良いのではないでしょうか。