生活スタイルの変化に伴ってお葬式の形態も多様化していますが、様々な葬儀の中でも特に注目されているのが「ホテル葬」です。いわゆる一般的な葬儀とどのような違いがあるのでしょうか。
記事ではホテル葬の内容や費用、メリット、また葬儀を行う上での注意点などについて解説していきます。詳しく知る事で候補の一つになり得るかもしれません。
ホテル葬とは
ホテル葬とは名前の通り、ホテルの宴会場やホールなどを貸し切って行う葬儀を指し、お別れ会とも呼ばれます。家族や親族など身内だけで密葬を済ませた後に、告別式の代わりとして行います。
ただし通常の葬式は通夜、葬儀、火葬の後に告別式という流れになりますが、ホテル葬を行うタイミングは火葬直後ではありません。身内でのお別れが落ち着き、後日改めてというケースがほとんどで、区切りとして四十九日の法要あたりに執り行うことが多いです。
またお葬式は宗教儀式となるため、僧侶を招いてお経を読んでもらうイメージがあるかもしれませんが、ホテル葬は無宗教型が多くなります。
セレモニー型かパーティー型かによって雰囲気は異なるものの、いずれにしても宗教的な儀礼を除いて行うため、僧侶を呼んだり読経をお願いする事はありません。ちなみにセレモニー型は、少し告別式の形式に似ています。祭壇が
設置され、弔辞や弔電も読まれます。ただし参列者は焼香するのではなく、献花か献灯を行って故人に祈りを捧げます。
もう一つのパーティー型はホテルの宴会場などを利用し、故人の在りし日の映像を流したり、故人が好きだった曲を流しながら語らい、会食をするという内容になっています。
ホテル葬を行うメリット
ホテル葬のメリットといえば、まず交通の便が良くて参列しやすいという点が挙げられます。全てのホテルが該当する訳ではないですが、基本的に駅から近かったり、駐車場が充実している所が大半です。
バリアフリーにも対応しているので車椅子での参列も可能、また収容人数のバリエーションを選択できるので、大勢の参列者を気兼ねなく呼ぶことができます。そして遠方から参列する人にとっては、宿泊できるという点も魅力的に感じるかもしれません。
わざわざ宿泊施設を予約する必要もなく、葬儀が終わって疲れた後はそのまま部屋で休むことが出来ます。
また料理の内容を選べるのも、メリットの一つかもしれません。ホテルは普段から様々な料理を提供している場であるため、必然的に料理の候補も多くなります。
参列者の好みや故人の好物などをホテル側に伝えておき、それらの要望に合った会食を用意してもらうことも可能です。さらに音響や照明など設備が整っているので、個人でわざわざ機材を準備する必要はありません。
親族や友人同士で集まって故人が好きだった曲の楽器演奏をすれば、アットホームでオリジナリティあふれるお別れ会となります。
ホテル葬を行う上での注意点
費用に関しては参列者の数や葬儀自体の規模によって変わってきます。故人略歴紹介としてムービー作成を業者に依頼したり、プロの演奏者に献奏をお願いすれば、それだけ費用も高くなり、少なくとも100万円前後は見積もっておく必要があります。
またホテル葬は密葬や家族葬を済ませた後に行うものなので、通常のお葬式よりお金がかかるのは間違いありません。少しでも費用を抑えたい人より、多少のお金がかかっても故人を盛大にお見送りしたい、より多くの人に偲んで欲しいといった人に向いています。
またホテル葬の内容を理解できない人もいるかもしれません。当然ながらホテルで行う葬儀なので、遺体を運び入れてのお別れは不可能です。焼香や読経などもありません。通常の葬儀では当たり前のように行うものが無いとなると、伝統を重んじる人からすれば、不満を感じる可能性が高いです。
人によって様々な考え方があるため、もしホテル葬を計画する場合は周りにきちんと説明をしておくことが大切です。
そしてもう一つ、ホテルのスタッフに祭壇の設営や葬儀の進行をお願い出来ません。接客技術やサービスの質は申し分なくても、そもそもホテルは葬儀を専門に行っている施設では無いのです。つまりホテルに直接葬儀を依頼した場合は、遺族間で進行や段取りを考えていかなければならず、それなりに手間や労力がかかります。
なるべく負担が少なく、スムーズに葬儀を執り行うためには、葬儀社にも間に入ってもらい、式の進行は葬儀社、料理はホテルといったように、それぞれ専門の役割をお願いすることが賢明です。
ホテル葬を依頼する時は事前にしっかりリサーチしておこう
ホテル葬には様々な魅力があります。格式ばったお葬式より参列しやすい雰囲気があり、自由度の高い葬儀にすることも可能です。ただしメリットだけではなく、デメリットもあるため、皆が一同に共感してくれるとは限りません。
葬儀に関わる親族とまずはしっかり話し合いをし、ホテル葬の流れや内容、費用も全て把握した上で計画を立てていく事が大切です。